しなやかフェスの憂鬱|僕がブログを書けなかった理由

今年の3月23日(金)・24(土)の二日間、しなやかきゅうりの収穫祭  #しなやかフェス2018春 を開催しました。しなやかフェスは昨年10月以来、今回で2回目。両日天候にも恵まれて、沢山の方にご参加いただくことができました。

改めて当日ご来場いただいた皆さま、食材などに協賛いただいた皆さま、協力業者さま、そしてSNSで応援していただいた皆さまありがとうございました。

本当に楽しかった。本当に楽しかったんですが、僕はずっと心に引っ掛かってしまっていることがあって。実は準備段階から当日、そして終わってから今までも素直にしなやかフェスという存在を受け入れることができなくなっていたんです。

しなやかフェスは究極の自分よがりなイベントじゃないだろうか

開催後、約4ヶ月を経て僕の想いをブログにしました。

衝動に従え。

まずは今回のしなやかフェスはどんな内容だったのかを振り返ります。初日の早朝、僕はこんなブログを書きました。

衝動に従え|しなやかフェス2018 Spring を開催します

僕が今回掲げたテーマは“衝動に従え”。

農家として開業した3ヶ月後に第1回目のしなやかフェスを開催し、“生産者と消費者の壁を壊す”というメッセージを沢山の方に伝え、そして僕が初めて作ったしなやかきゅうりを目の前で食べてもらうことで、その想いを会場で実現することができました。

そのしなやかフェス開催をきっかけにより沢山の方に僕の存在を知ってもらえたり、関係性がより深くなったり、そして従来の考え方にとらわれない様々な挑戦を重ねることができました。この流れをそのまま加速させたい。

到達したいその場所に向けて、言い訳して進むことをやめるのではなく、溢れる想いのままに行動していく。その姿勢を示すと共に、僕のパワーを皆さんとも共有したいという想いから、今回のテーマが出来上がりました。

しなやかフェス2018 Spring【初日】

初日は名古屋ノリタケの森にあるフレンチレストラン「キルン」様とのコラボ。お店を貸し切って #しなやかきゅうり を使った前菜〜デザートまでのフルコースを作ってもらいました。

もう見事!としか言いようの無い素晴らしい料理の数々。いま冷静に考えても斬新な企画だったな…。まさに衝動に従って決めないと生まれなかったと思います。

どんなメニューを用意いただいたか、当日必死に正式名称を打ち込んだツイートと共にご紹介。

名前に使われてる文字が普段使わなさすぎて絶対に覚えれない…。そして全部めちゃくちゃ美味しかった。

どちらかというとフェスが終わってからの反響の方が凄かったので、また一緒に何かやりたいな。

最後は普段から僕が注目しているサム(@Toland333)、わいざん(@yzan_travel)とトークライブを開催しました。

仮テーマだけ決めておいてあとは台本無しのぶっつけ本番。やっぱりこの二人の発想や行動の裏側を知るのは面白い。みんなに話を聞いてもらう場でしたが、こういう時は自分もめちゃ勉強になる。

1日目の内容はかなり常識を壊しにいきましたが、実際にやってみて今後に繋がる手応えをかなり感じました。普段は脇役のきゅうりが主役になってみんなに喜んでもらえたことは、きゅうり農家としての自信になっています。

ご協力いただいたキルンの皆さま、そして料理長の和田さん。僕のわがままをここまで表現していただいて、本当にありがとうございました。

しなやかフェス2018 Spring【二日目】

二日目は会場を四日市に移し、見事に晴れた野外会場で開催。初日にも増して早朝からワクワクに包まれていました。

この日はとにかくコンテンツが盛りだくさん、そして参加してくれた皆さんの情報発信も凄くて拾いきれないくらい。前回に引き続きTwitterのおすすめトレンド(全国版)にもランクインしました。

しなやかフェス終了後に沢山の方がSNSやブログで感想を書いてくれたんですが、二日目の詳しい様子を香川県から参加してくれた藤田さん(@sentakugokigen)が分かりやすくそして熱くまとめて紹介していただいたので代表して紹介させていただきます。ぜひ読んでみてください。

しなやかフェス2018春 【共鳴】

藤田さんもブログで少し触れていますが、しなやかフェスの大きな特徴の1つに「優しさ」があります。とにかく空気が温かいんです。

SNS発のフェスで主催がきゅうり農家で…、繋がりの無い人が見たらいろんなところに「???」となりそうですが、何も知らない人が飛び込んでも迎え入れるてくれる。そして一緒に楽しむことができる。本当に僕は仲間に恵まれているなと思います。

二日目の個人的な大きな心残りといえば、喉が花粉症で潰れてほとんど声が出なかったこと。最後の挨拶をするために一日中ほぼ誰とも喋れなかったあの時間は辛かった…。この写真に映っている通り、常にのどぬ〜るスプレーをポケットに入れてましたから。

致命的な赤字運営で迷惑をかけてしまう

僕がしなやかフェスを見失ってしまった理由。それはこの赤字から始まった動きにあります。開催まであと4日に迫ったころ、しなやかフェス実行委員会(Facebookの非公開グループ)にこのような投稿をしました。

金額にして約25万のショート見込み。これに至る原因は沢山ありますが、全て主催者である僕の采配ミス。もっと早くからこの状況は想定できていたものの、日々の仕事に追われ余裕の無かった僕は自分で抱え込んでしまっていました。

このピンチを何とかチャンスに変えることはできないかと、いろんなアイデアが浮かぶものの動けない。この理由の1つに前回の忘れ物があります。そう、実はしなやかフェス2017も約15万円の赤字で終わっていたのです。

当時もまた準備過程で赤字となる可能性が出てきたため、開催前にクラウドファンディングを仕掛けようとわいざん(@yzan_travel)に相談し、指揮をとってもらうことになりました。これが当時の発信です。

前回のしなやかフェス2017実行委員会グループのスレッドより

上記わいざんの投稿への追加コメント

この投稿に沢山のアイデアと激励をもらいました。とにかく嬉しかった。でも間に合いませんでした。

進みたい想いとは裏腹に、初めて迎えるきゅうりの収穫、そしてハウスに拡がる病気…。予想を超えて襲いかかる目の前の作業に全ての時間を奪われてしまったんです。

そして迎えた今回。また同じ結果を迎えていることに誰にも言えない不安が襲っていました。その高額な赤字を簡単に支払いできる状況でも無かったからです。

次々に集まる支援金、自己中心的な自分への罪悪感

「どうすれば赤字を逃れられるか」実行委員会グループで様々な好意的な意見やアイデアをいただきました。見ていて背筋がピンと伸びるような、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

結果、当日参加はできないけれど…と振込や現金を渡してくれた方、当日のブース出店の売上を寄付していただいた方、会場で販売してくださいと商品を送っていただいた方… 直前にも関わらず迷わず行動していただいた皆さんには頭が上がりません。

僕と奥さんも直前に準備する予定の商品を最低限で収まるように工夫し、僕の発信を見てくれた業者さんがディスカウントしてくれたりなど、最終的に2万円弱まで赤字を軽減することができました。お気遣い、ご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございました。

そしてその次に思ったんです。「僕はなんて自己中心的なんだろう」と。みんなに楽しんでもらい、僕のメッセージを伝えるためのしなやかフェスのはずが、結局、みなさんに迷惑をかけてしまっている。感謝の想いが重なるほどに、同じだけ罪悪感も増大していきました。

打ち上げで伝えた本音「果たしてこれで成功したと言えるのか」

“衝動に従え”。このテーマの通り、自分のやりたいと思ったことをやりたい気持ちのままに突き進める。できない理由を考えるよりも、どうしたらできるかを考え、そしてやりながら改善していく。これが僕の行動力のベースです。

ただ、それはかなり自己中心的な考えなのではないか。しなやかフェスという存在が僕だけのものではなく、独り歩きできるほど沢山の方が楽しみにしてくれるイベントに成長しただけに、主催者の在り方として自分を攻める結果になりました。

二日目が終わってから、残ったメンバーで打ち上げをしました。最後の挨拶で…と、僕が話した内容は「しなやかフェスが見えなくなった」そんなような話をしたと思います。

生産者と消費者の壁を壊す。そのために農業・農家をもっと身近にインパクトをもって表現し伝える。そのためにしなやかフェスを開催して沢山の方に共感してもらい、全国からこの場所に集まってもらえるようになった。でも結果、みんなに迷惑をかけている。

また開催にあたってフェスを盛り上げるために協力いただいた皆さんの紹介も満足にできていない。余裕がなく忙しい状態でも開催する意義は感じているつもりだったけど、これは「究極の自分よがり」になっているんじゃないか。

打ち上げはこれを伝えたあと解散の予定でしたが「しなやんがそこまで言ってくれたのならみんなも本音で話そう」と各自がしなやかフェスを本音でどう感じたのか一人ひとり意見をもらいました。

この時間はとにかく貴重でとても有難かったです。でも僕は「しなやかフェスの次回開催を発表します」とは言えませんでした。

もう一度しなやかフェスを作り直そう

自分の中で大きなしこりを残したまま、しなやかフェス2018 Springを終えて日常に戻った翌日のこと。しなやかファームで作業をしていると奥さんから「いま一人?」とLINEが入ってきました。

そのメッセージに添付されていたのは、前回に引き続き今回もしなやかフェスに参加した長男が奥さんへ渡した手紙でした。

ままへ

昨日は楽しかったね。

次は今年の何月?

かおるは、パパが

農かでよかったと

思いました。

僕はこれを見た瞬間、感情を抑えることができずに日が暮れるまでずっと泣いていました。自分のやりたい事は大切な人にちゃんと伝わっていたんだと。上手く言葉にできないくらいとにかく嬉しかった。

しなやかフェスは僕が作るしなやかきゅうりの収穫祭です。本来であれば次回は今年の秋に開催されますが、今はまだ何も決まっていません。

もう一度しなやかフェスを作り直します。

 

photo by よら(@yora_designist)

ABOUTこの記事をかいた人

しなやん

本名|阿部俊樹。顔と想いが見えるきゅうり農園しなやかファーム代表。生産者と消費者の壁を壊します。講演家、日本料理店 栄町かせう経営、セミナー講師、しなやかフェス主催など。百姓とは百の肩書きを持つマルチな実行者。しなやかさは僕の生き方であり強さの象徴です。人生のミッションは家族を幸せにすること、人の役に立つこと。三重県四日市市出身。三児の父。